菅谷ウイメンズクリニック 上越市,新光町,春日山駅 産婦人科・生殖医療

体外受精

体外受精・胚移植

精子と卵子をそれぞれ採取し培養液の入った容器内で受精させ,培養し得られた胚を子宮内に移植するものです。卵管の閉塞・高度の癒着がある場合,子宮内膜症,乏精子症などで人工授精や薬物療法を行っても妊娠しない場合,原因不明不妊症などの場合に行います。

1.体外受精・胚移植の方法
① 卵巣刺激
自然の周期で排卵される1個の卵を用いての体外受精では成功率は低いため、複数の卵を得ることが必要となります。そこで,排卵誘発剤(HMG/FSH)を用いて複数の卵を成熟させた後採取します。内服の誘発剤を用いて行う場合もあります。

1) アンタゴニスト法における卵巣刺激

2) ショート法における卵巣刺激

3) クロミッドとFSHによる卵巣刺激

② 採卵と媒精(体外受精)
卵胞の大きさが約18mmを超えた時点で経腟超音波装置を用いて卵胞に針を刺し,中の卵を吸引・採取します。痛みがないように静脈麻酔をして行います。採卵は約15分前後で終了します。御主人に精子を採取して頂き,運動良好な精子を分離し卵に添加(媒精)します。あとは培養器の中にいれて受精・分割を待ちます。
③ 胚移植
胚をカテーテルにとり,子宮腔内に挿入して胚移植を行います。多胎妊娠の予防のため移植胚は原則1個とします。
④ 黄体機能の維持
移植胚の着床を助けるため,移植後より妊娠判定まで黄体ホルモンの投与を行います。

2.体外受精・胚移植に伴う合併症
採卵後に骨盤内感染および卵巣からの出血が起こる場合があります。 子宮内に胚を移植したにもかかわらず、子宮外妊娠となることもあります。採卵後,排卵誘発剤使用による卵巣腫大により,腹痛などがおこることがあります。これは卵巣過剰刺激症候群といって重症化すると腹水や胸水が貯留し入院治療が必要となります。重症にならないようにするためには全胚凍結保存を行います。全胚凍結保存とは新鮮胚移植は行わずすべての胚を凍結保存するものです。採卵周期に妊娠しなければ,重症化する可能性は高くありません。1~2ヶ月後にホルモン補充周期で融解後胚移植を行います。